建設業には多くの技術者が存在しますが、正確に理解されている方もイマイチわからない方も今一度確認をしてみてください。
技術者には専任性の問題があり、建設業法違反となりやすい部分は特に注意して下さい。
また例外規定も存在しますので、あわせて記載しておきますのでご確認下さい。
建設業を営む事業者が、「各営業所で受ける許可ごと」に配置しなければならない 一定の要件を満たす技術者のことで、資格保有者や実務経験で専任技術者として、役所に申請します。
「一般」と「特定」では専任技術者となる要件が違い、「特定」のほうがより厳しい要件が求められます。
業務内容は建設業の工事の請負契約の締結や実行に関する技術的な管理となっており、工法の検討や発注者への技術的な説明、見積りなどを行います。
また「専任」とは営業所に専任することで、原則は営業所に常駐することが前提となっているため、現場に配置される技術者ではありません。
「専任技術者と主任技術者の兼任」
専任技術者は原則営業所に常駐する技術者で現場の配置技術者にはなれません。
しかし、その場合だと一人親方の場合、確実に建設業法違反になってしまいます。
そこで、この2つの技術者を兼任できる例外規定が設けられています。
①当該営業所で契約締結した建設工事であること
②工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接していること
③当該営業所と常時連絡が取れる状態にあること
以上の3つの要件を全てみたす場合には兼任が認めれられています。
3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の工事については現場に専任することが求められますので兼任はできません。
工事の適正な施工を確保するために、施工現場に配置して技術上の管理を行う一定の資格・経験を有する技術者のことで「主任技術者」「監理技術者」がこれに該当します。
建設業許可を取得した場合は工事現場に配置技術者を設置する必要があります。
元請が下請けに工事を発注した場合には、元請、下請けともに技術者を配置する必要があります。
下請けがさらに下請けに出し、その下請業者が許可業者なら技術者の配置が必要となります。
「特定専門工事の特例」
特定専門工事の「鉄筋工事」「型枠工事」の2業種については主任技術者の配置が任意となる特例が存在します。
①下請け代金が3,500万円未満であること
②元下間で書面による合意があること
③元請人が発注者からあらかじめ書面による承諾を受けていること
以上の3つの要件を全て満たす場合には主任技術者の配置は不要となります。
この制度を利用して主任技術者を置かない場合、その工事を再下請けに出すことはできません。
工事現場の技術上の管理をつかさどる技術者のことで、許可業者は現場に「必ず配置」する必要があります。
主任技術者の要件は、一般建設業の許可を受けるための専任技術者の要件と同じとなります。
主任技術者の業務は、工事を予定通りに進めていくための「施工計画の作成」や「工程管理」、完成した施設や構造物の精度に関わる「品質管理」、工事現場の危険や作業員の安全に関わる「安全管理」などの施工管理業務を行います。
主任技術者の現場の掛け持ちについては、「現場専任性がない場合」については規制はなく掛け持ち可能となっています。
主任技術者の注意点「現場専任性」について
公共性のある施設若しくは多数の者が利用する工作物に関する重要な建設工事(工事1件の請負代金の額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上))の工事については、現場に配置する技術者は工事現場ごとに「専任」のものでなければなりません。
これは個人住宅を除くほとんどの4,000万円以上の工事が対象となります。
この「現場専任性」とは1つの工事現場に専任するという意味であるので、主任技術者は現場の掛け持ちはできません。
「現場専任性」のある主任技術者の現場掛け持ちの例外規定
現場専任性がある場合、主任技術者は現場の掛け持ちはできないこととされていますが、工事の内容によってはあまりに杓子定規なため例外規定が設けられています。
2つ以上の現場が
①密接な関係にあること
②同一の建設業者が請負っていること
③同一の場所または近接した場所でおこなうこと
以上の3つの要件を全て満たす場合には「現場専任性のある」主任技術者の現場の掛け持ちが許されています。
発注者から直接請け負った建設工事のうち、下請けに出す施工金額の合計4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)となる工事現場に配置しなければならない技術者のことです。
監理技術者の要件は、特定建設業の許可の基準を満たす技術者の要件と同じとなります。
監理技術者に選任された者は、同一の工期に他の現場の配置技術者を兼務することはできません。
監理技術者の現場掛け持ちの例外規定
監理技術者にも現場掛け持ちの例外規定が存在しますが、主任技術者の場合より要件は厳しくなります。
2つ以上の現場が
①工期が重複し、かつ、工作物に一体性がある場合
②特例監理技術者と補佐を置く場合
以上のいずれかに該当する場合には監理技術者の現場掛け持ちが可能となります。
特例監理技術者とは、現場に監理技術者「補佐」を専任で置いた場合の監理技術者のことを指します。
監理技術者補佐とは、監理技術者の要件を満たす者または主任技術者の要件を満たす者で一級の技術検定の第一次検定に合格した者を指します。(技士補)
現場代理人とは、元請業者の代表者の代理として公共工事や大規模な民間工事に配置される、工事全体の責任者のことを指します。
公共工事では配置が義務付けられていますが、民間工事は契約内容によって変わります。
現場代理人は工事現場に駐在し、工事の運営や取締まり、また契約に基づく一切の権限を行使する事ができますが、特別な資格や実務経験などの要件が定められていないため、基本的には工事の元請会社と直接的な雇用関係が3ヶ月以上ある人なら誰でも務めることができます。
現場代理人は同一の現場であれば兼務可能となっているため、個別に配置することは少なく主任技術者や監理技術者が兼任する場合が多いかと思います。
これまで「専任性」について触れていますが、この「専任性が急所」になります。
というのも、建設業許可業者は毎年決算変更届を役所に提出します。
その提出資料の中に工事経歴書があり、その年度の工事実績を記載しますが、請負代金によって現場専任性があるにもかかわらず、配置技術者として工期が重複している場合や営業所専任技術者にもかかわらず他県の配置技術者として現場に出ている場合には建設業法違反となってしまうからです。
この部分を特に建設業者様には注意していただきたいのです。
知らなかったというだけで、ペナルティをくうのは本当にばからしいので心の片隅にでも置いておいて下さい。
技術者の配置や現場専任性のことでご不明点がございましたら、いつでも遠慮なくご相談ください。
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