会社が成長していくと、建設業許可を取得されることをお考えになられると思います。
許可があれば500万以上の工事が請負えます。
はたまた、元請業者から取得するように促される場合もあります。
そんなときすぐに建設業許可が取れるのでしょうか?
建設業許可申請には、建設業を営んでいた経験、建設工事を適正に施工できる技術を役所に証明する必要があります。
これが、「経営業務の管理責任者」「専任技術者」と呼ばれるものです。
じつは建設業許可申請をお考えのほとんどの建設業者様はこの要件を満たしている場合が多いのです。
しかし、許可申請ができない建設業者様は多くおられます。
それは、建設工事の実績を証明することができないから
建設業許可申請に携わっていますと、やはり経営業務の管理責任者や専任技術者の実務経験を証明するための書類がそろわないことが多いと感じます。
このそろわないというのは、書類を紛失している場合もですが、その内容が証明として使えないものであるケースが多いということです。
建設業許可申請では、「工事請負契約書」「注文書と注文請書」が証明書類として建設業許可手引きに記載されています。
しかし、私が関わらせていただいた建設業者様で「初めて許可を申請する」業者様がこの書類を完璧に揃えられているケースは正直に申し上げて少ないと感じます。
実際には「請求書と入金通帳」で実務経験を証明することも少なくありません。
そこで、「請求書と入金通帳」についての重要なポイントをお伝えしたいのです。
前置きが長くなりましたが、とっても重要な3つのポイントに触れていきます。
ポイント1 請求書作成の注意点
工事の内容は「誰が」「いつ」見てもどんな工事をしたのかわかるように明確に!!
「A様邸リフォーム工事」これは請求書の「工事の内容」としてはNGです。
リフォーム工事では幅がありすぎて何の工事をしたのかがわかりません。
門扉を施工すれば「とび・土工・コンクリート」、水回りなら「管工事」、壁紙の張替えなら「内装仕上」です。
さてどれでしょうか??
例えば、内装仕上であれば
「A様邸リビングクロス張替え工事」や「㈱B社事務所新築工事グラスウール化粧張り内装工事」のように、
「工事の内容が明確に判断できることがとても重要」
少なくとも「内装仕上一式工事」と明記していただくことが最低限かと思います。
将来、建設業許可申請をする可能性を踏まえて、建設工事の請求書は具体的に記載しておくことが望ましいです。
この工事の内容の記載があいまいであったり、そもそも工事の内容が記載されていなければ証明書類として使うことは難しくなります。
全く使えないわけではないのですが、この請求書を補完する別の書類が必要になるとお考え下さい。
ポイント2 入金通帳の注意点
請求金額と通帳の入金額に「振込手数料以外」に引かれているものは要注意!!
私が確認をさせていただく入金通帳で、請求金額と入金金額が合わないものがよく見られます。
これが「実は証明として使うことが難しくなる」のです。
複数の工事の請求書を元請業者様がまとめて入金する場合や「手数料」や「必要経費」の名目で請求額から引かれて入金されるケースです。
このケースは元下間でよく見られますが、ここを役所がつついてきます。
何年も前の入金差額をどう証明しますか??
この場合の証明は非常に難しいものになります。
なので、このケースでは、支払明細書を発行してもらうことで対処します。
複数の工事の代金をまとめて入金するのなら請求書の「工事内容の記載と金額」を明記していただく、「手数料」や「必要経費」ならその旨を明記していただくことで、請求書と入金額の差額の説明ができます。
もちろん、「支払明細書」は御社が発行した請求書と一緒にしてファイルに閉じて大切に保管して下さい。
これで証明書類として十分機能します。
ポイント3 人工出し(人夫出し)
建設業の人工出しは注意してください!!
建設業者様の請求書で見かけるのが人工出しです。
作業員の方が貸し出し先の会社の指揮命令の下に現場作業することですが、これが職業安定法で禁止されていることを知らずに、応援というカタチで人工出しされている建設業者様を見かけます。
また、本来は請負契約であるのに、人工出しと思わせるような請求書の作り方になっている場合も見られます。
建設業者様の中には現場応援をするときに、「人工出し」か「請負」かを気にすることはないのかも知れませんが、気にしてください。
なぜなら、いろんな意味で法的にNGとなり得るからです。
元請から頼まれたら断れるのか?
この場合はあくまでも請負というカタチにすることを考えて下さい。
そして、この人工出しは「経営業務の管理責任者」の経営経験にはならないのですが、「専任技術者」としての実務経験として認められる可能性があります。
実際に工事を施工して経験と技術を積み上げていますから
このような請求書があったとします。
これはNGです。
どう見ても労働者を供給したように見えてしまいます。
役所は100%人工出しと判断します。
でもこうなればどうでしょうか?
100㎡の外壁塗装を請け負って工事を完成させました、と見ることができます。
1人で頑張って塗装して完成させてもいいですし、数人で手分けして完成させてもいいわけです。
これが請負工事と人工出しの違いになり、役所を納得させることができるコツになるのです。
だからこそ、建設業者様には気にしていただきたいのです。
以上3つのポイントを押さえておけば、いざ御社に許可が必要になったときに必ず役に立ちます。
私としましては、要件はクリアしているのにそれを証明する書類がそろわずに、許可申請の時期を待ってくださいと建設業者様に申し上げるのが一番もどかしいのです。
発注書、見積書、注文書、注文請書、請求書、支払明細書、入金通帳、これらは建設業者様にとって、その請負工事を証明する大切な書類になります。
手間が掛かるとは思いますが、是非大切に保管して下さい。
将来、建設業許可を取得することをお考えの建設業者様に、建設業許可申請のために必要な準備をご案内しております。
御社にお伺いして、現在許可要件をみたしているかの確認、証明書類の確認も行っておりますので、是非ご利用下さい。
ご不明点、ご質問があれば相談料は無料となっておりますので遠慮なくご相談下さい。
まずは無料相談 0866-37-6783
(平日9時~17時)