経営業務の管理責任者は個人として経営業務の管理責任者になる「イ」とチームとして経営業務の管理責任者になる「ロ」とに分けられています。
ここではチームとして経営業務の管理責任者になる「ロ」を説明します。
この規定は令和2年の建設業法の改正で新しく追加された規定になります。
1人で経営業務の管理責任者の要件を満たしていなくてもチームとして満たしていれば許可します、とういうものです。
この「ロ」は最低2人、最大4人のチームとして、経営業務の管理責任者をクリアしていくものです。
経管として「取締役」を配置したうえで、「財務管理」「労務管理」「業務運営」の経験者を直接補佐する者として配置することで、経管たる「取締役」の経験不足を補うことを目的にしたものです。
当然証明するための書類も相当の量になりますので、あくまでも「イ」が使えないときの受け皿的な位置づけとお考え下さい。
常勤役員等のうち1人が次のいずれかに該当するものであって、かつ、「財務管理」、「労務管理」、「業務運営」の業務経験を有する者を常勤役員を直接に補佐する者として「それぞれ置く」こと
区分 | 常勤役員等の経営経験の内容 | 直接に補佐する者の業務経験の内容 |
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ロ(1) | 建設業に関し、 2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上「役員等」または「役員等に次ぐ職制上の地位にある者」(財務管理、労務管理、業務運営の業務を担当する者に限る)としての経験を有する者 |
建設業の「財務管理」に関し、 |
建設業の「労務管理」に関し、 |
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建設業の「業務運営」に関し、 |
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ロ(2) | 5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者 |
建設業の「財務管理」に関し、 |
建設業の「労務管理」に関し、 |
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建設業の「業務運営」に関し、 |
経営業務の管理責任者は、「現在の地位」、「過去の地位」、「過去の経営経験」の証明が必要になります。
現在の地位
・常勤役員「取締役」を経管として設置します。
その取締役の経験不足を補うために、「財務管理」「労務管理」「業務運営」の経験を有する者を直接補佐する者として配置する必要があります。
この直接補佐する者は、「財務管理」「労務管理」「業務運営」とそれぞれ設置してもよいですし、1人が全て補佐してもかまいませんが、申請会社での経験でないと認めてもらえないことには注意が必要です。
つまり「取締役」は外部から申請会社に就任した者でも認められますが、直接補佐者は申請会社に最低5年以上在籍している必要があるということになります。
過去の地位と過去の経験が、ロ(1)、ロ(2)、に分けられています。
ロ(1)
・建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上「役員等」または「役員等に次ぐ職制上の地位にある者」(財務管理、労務管理、業務運営の業務を担当する者に限る)としての経験を有する者
まずは、建設業で2年以上「役員等」であったことが求められています。
その上で、「役員等」「役員等に次ぐ職制上の地位にある者」として、建設業の「財務管理」「労務管理」「業務運営」を担当した経験が必要とります。
「取締役」は基本的には、商業登記簿と確定申告書で役員であったことの証明をします。
「役員等に次ぐ職制上の地位にある者」の証明は、地位の確認に組織図、証明する期間の確定申告書は必要になります。そのうえで、証明がしきれていない部分をそのほかの書類で補っていくといことになりますが、会社によって書類の内容に差異がありますので、一概にこの書類と言い切ることはできません。
そして過去の常勤性、工事実績を証明することになります。
直接に補佐する者も同様に「財務管理」「労務管理」「業務運営」を業務として行っていたことを証明しなければなりません。
具体例としては、業務部長(役員等に次ぐ職制上の地位にある者)として3年の経験、取締役として2年、合計5年といった感じになります。
どういう場合が想定されるかですが、
ある程度規模間のあるオーナー社長の建設業者がずっと建設業を営んできて、いざ経管を変更しようとしたときに、単独で経管の要件を満たす者がいなかった、というときがもっとも考えられます。
・役員等とは
業務を執行する社員、取締役、執行役またはこれらに準ずる者を指します。
・業務を執行する社員とは「持分会社」の業務を執行する社員
・取締役とは「株式会社」の取締役
・執行役とは「指名委員会等設置会社の執行役
・これらに準ずる者とは法人格のある各種組合等の理事等および業務執行役員
・役員等に次ぐ職制上の地位にある者
当該地位での経験を積んだ会社内の組織体系において役員等に次ぐ役職上の地位にあるものをいい、必ずしも代表権を有していなくてもよい
ロ(2)
・5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
こちらも、建設業で2年以上の役員等の経験が必要となりますが、それ以外の期間は、建設業に関係なくても役員等としての経験があれば認めますということです。
たとえば、運送会社の取締役として3年、建設会社の取締役として2年あればよいということです。
証明書類に関しては、ロ(1)とほとんど変わらないですが、やはり会社によって書類の内容に差異があるので、この書類ですとは言い切れません。
また「財務管理」「労務管理」「業務運営」の直接補助者の要件も同様となります。
過去の常勤性、工事実績の証明が必要なことも同様となります。
・財務管理の業務経験とは
建設工事を施工するにあたって必要な資金の調達や施工中の資金繰りの管理、下請業者への代金の支払いなどに関する業務経験を指します。
・労務管理の業務経験とは
社内や工事現場における勤怠の管理や社会保険関係の手続きに関する業務経験を指します。
・業務運営の業務経験とは
会社の経営方針や運営方針の策定、実施に関する業務経験を指します。
以上、ロ(1)(2)を説明しましたが、該当しそうなところはありましたでしょうか?
このロの要件は少し複雑になっていて、なかなか判断するのが難しいものになっています。
御社が要件に該当するかどうかを診断することももちろんできますので、ご不明点、ご質問がございましたら、遠慮なくご質問ください。
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